パパに似ていないハーフ女子たちの体験談


ハーフっていろいろ


先週娘の大学の、MISOというクラブに参加した時の話です。  MISOの初めの二文字は、Mix Identityの頭文字です。  そのクラブのメンバーは、ほとんどが混血か、両親が同じ人種でも、民族が違うという人たちなんです。 


アメリカで生活していると、人種とか民族のことを抜きで暮らすことはできません。  日本みたいに、日本人と言えばみんな同じような肌の色で、髪の色も染めていなければほとんどは黒かダークブラウン、というようなことはないのです。  だから、良いことも沢山あるけど、差別とか、偏見とか、いろんな問題もあるわけです。  


お母さんがアジア系、お父さんが白人の女子たち


私の夫は白人なので、娘は母親がアジア人、父親が白人の混血というわけですが、彼女の場合、どちらかと言えば白人に近い顔をしているので、そういう人のことをホワイト・パッシング(white passing)と呼ぶそうです。  つまり白人でも通るということ。   


クラブに参加していた女の子たちの中で、二人どう見てもアジア人にしか見えない子たちがいました。  小柄で、可愛らしい顔をした女の子たちです。  一人の子はお母さんがベトナムの人で、お父さんが白人のアメリカ人だと言っていました。  もう一人の子は、四分の三が中国系で、四分の一が白人だったかな?  


お父さんと一緒にいると、知らない人は親子だと思ってくれない、というのが彼女たちが不満に思うことでした。 


いやらしい想像をされるのはいや!


お父さんが何歳かは知らないけど、もし彼女たちがまだ小学生とかだったら、もしかしたらどこかの国から養女にもらわれてきたんだろう、と思われるかもしれません。  実際そういう親子は大勢います。


でも彼女たちはもう結婚していたっておかしくない年齢です。  だから知らない人たちが、お父さんのことを年の離れたハズバンドだと思うことが多いんだそうです。  


その話をしてくれた女の子たちは、お父さんがハズバンドだってー、ゲ~!なんて笑っていたけど、付け加えてもっと話してくれました。  


お父さんが若く見える人だから、夫婦かと思われるならいい。  (本当はゲ~だけど)

でも、そうじゃなくて、お父さんが、アジアの国からずっと年下の、若い女の子を連れてきて、ただガールフレンドとして可愛がっている、そういう風に思われているらしい。  それが許せない!というのです。


同じ人種だったら、そんなことは思われない


もし親子が同じ人種だったら、顔が似ていないお父さんと娘が一緒に歩いていたって、仲のいい親子だねえ、と思われておしまいなのではないでしょうか。  反対に、本当は、どこかのおじさんが、自分の子供でない小さい女の子を、変な趣味で可愛がっていても、知らない人は親子だと思って何も言わないかもしれません。


私の娘は小さい頃は金髪で、目も青みがかっていたので、知らない人は私が母親だとは思いませんでした。  ナニー(子守り)だと思われたことも、何度もありました。  


私はそんなことは腹を立てずに笑ってやり過ごしたけど、親を親としてみてもらえない子供たちは、いろんなことを思うようです。  


特に女の子たちは、世間がよくない見方で勝手に判断することがあるので、嫌な思いをすることも多いようです。  


前にも、父親参観の日に、お父さんをボーイフレンドだと思われて、叱られたハーフの女の子の話を聞いたことがあります。  この場合、お父さんがとても若く見える人なので、それは笑い話ですんだけど、今回二人の女の子たちの体験談を聞いて、混血って、奥が深いんだなあとつくづく感じました。   



Weeaboo(日本フェチ)ってよくないみたい


WEEABOOって、ちょっと響きが可愛くない?


ウィーアブーって言葉を知っていますか?  私は昨日初めて知りました。  そんなに新しい言葉じゃないみたい。  でもそんな言葉は一度も聞いたことがありませんでした。

ピークアブーみたいで、なんとなく可愛い響きがあるから、これって赤ちゃん言葉なの?と思ったんですけど、そうじゃないんですって。

大学生の娘の説明によると、ウィーアブーというのは、大雑把に言えば、日本が大好きな人のことなんですって。  でもただの日本ファンとか、日本マニアとか、ああいう類いとは違うらしい。  彼女の言い方だと、どうやらあまり好ましい言葉ではないようです。  

Urban Dictionaryを見てみました


こういう新しい言葉は、Urban Dictionary(アーバン・ディクショナリー)というサイトで調べると大抵出ています。  このアーバン・ディクショナリーも娘に教わったんだけど、普通の単語でも、スラングみたいに使う、怪しい意味もあったりして、いいんだか悪いんだかよくわかりません。  ただ娘が友達と会話しているのを理解するには、結構役に立っていますけど。

というわけで、調べてみたところ、ウィーアブーの意味は、

Someone who is obsessed with Japan/Japanese Culture/Anime, etc. and attempts to act as if they were Japanese, even though they're far from it. They use Japanese words but usually end up pronouncing them wrong and sounding like total assholes. You can find alot of these faggots clogging up the forums of Gaia Online, hanging out in the international aisle of the supermarket, or crowding the manga section of your local bookstore. Synonym of wapanese."

あんまり良くない言葉も書いてあるんですけど、要約すると、日本人でない人が、日本、日本の文化、アニメなどにのめり込んでしまって、自分も日本人であるかのように振る舞うことなんだそうです。  日本人ではないのに自分のことを日本人だと思っていて、日本語を話すんだけど、実はちゃんと発音されていなかったり、間違った言い方をすることがある。  そういう人は、スーパーマーケットのアジアの食品を売っているコーナーとか、本屋さんの漫画セクションにたむろしたりする。  そんな感じですね。  

同じような意味の言葉に、Wapanese(ワパニーズ)というのもあるそうです。  ワパニーズは白人が日本人のように振る舞うことです。  

オタクとウィーアブーは何が違うのか


オタクもウィーアブーも、どちらも日本の漫画やアニメが大好きなんだけど、その言葉の感じ方が違うようです。  

そもそも日本でオタクという言葉が使われ始めた頃は、とても否定的に受け取られていましたよね。  最近は随分意味が広がってきて、日本ではオタクというのは、アニメに限らず鉄道オタクとか、ドラマオタクとか、いろんなオタクがありますよね。  それほど嫌なイメージもなくなってきているようです。    

アメリカではオタクというと、大抵はアニメ、しかも日本のアニメのファンのことを意味します。  オタクと呼ばれる人たちは、アニメに詳しい、知識があるっていうことで、オタクと呼ばれるのを嬉しく思ったり、誇りに思ったりするようです。  だから自分で自分のことをオタクと呼ぶんです。

でもウィーアブーは、自分のことを呼ぶ言葉ではなくて、日本のことが大好きでのめり込んでいる日本オタクの人たちを、蔑んで呼ぶ言葉のようです。  だから自分で自分のことを、私はウィーアブーです、とは言わないんです。

それから、ウィーアブーの人たちは、日本が一番大事で、自分の物が一番だと思っていて、自分の国はそれほど大切じゃないと思っているようです。    

KOREABOOというのもあるんだって


日本だけじゃなくて、韓国が大好きっていう人も大勢いるようで、最近はKポップしか聞かないとか、韓国ドラマしか見ないとか、韓国人のアイドルや俳優が大好き、カルチャーも大好き、っていう人たちが増えているそうです。  そういう人たちは、コリアブーと呼ばれるんですって。 

韓国人が唄っているからKポップなのに、メンバー全員が白人で、自分たちはKポップだなんて言っている人たちもいるようです。  EXP Edition という名前のバンドです。  日本人がジャズとかヘビメタとか、音楽のジャンルでアメリカ人の真似をしたりするのはわかるけど、ちょっとこの人たちはKポップと呼ぶには???過ぎますね。  怒っている人が大勢いるらしいです。

なんで良くないみたいなのか


そもそもなんでウィーアブーなんていう言葉を私が知ったかと言うと、昨日娘の大学のクラブのミーティングに招待されたからなんです。  彼女はMISOと言うクラブのリーダーをやっています。  MISOはMixed Identity Student Organizationだったかな?  混血とか、両親が違う国/文化から来ている人たちのグループで、毎週トピックを決めてディスカッションをしています。

今週は特定の人種や民族に対するフェティシズム(フェチ)についての話し合いでした。  ボーイフレンド、ガールフレンドとか、結婚相手を特定の人種や民族にから求める人たちのことについてのディスカッションで、国際結婚をして白人と結婚した私にも意見を言って欲しいと言うわけでした。  

軽い気持ちで出かけたけど、怖かったー!  常日頃自分の人種のことなんてあまり考えないで暮らして来たので、大学生の真面目なディスカッションの仲間に入って、やたらなことを言ったら、どんな逆襲をされるかわかりません。  あそこにいた人たちは、自分がどれか一つの人種に属しているわけではないので、自分は何者なんだろう?って、いつも考えて、悩んだりしているんです。  だからそう言う内容の話し合いには、とても真剣です。

そこでウィーアブーの話が出たときに、私は日本人だから、日本のことが大好きなんていいじゃない、私もアメリカが好きだよ、なんて思ったんですけど、そう単純に考えたことを口にしたら、すごい目で見られそうな感じでした。

大学には日本人の学生のクラブもあって、日本からきた留学生と、アメリカで生まれた日系人の学生や私の娘のような日本人との混血の学生もメンバーになれるそうです。  そこへウィーアブーがやって来て、自分が日本人のように振る舞ったり、日本人の女の子にちょっかいを出したから、そのクラブではウィーアブー学生を追放したと言っていました。  

一番の問題は、日本人だからと言う理由で特定の女の子を追い回したり、ちょっかいを出したりしたことらしいんだけど、きっとその女の子がウィーアブーの男の子のことを好きだったら、問題は起きなかったんでしょうね。  

私の周りにも、日本人に限らないけど、アジア人の女性が好きだと言って、アジア女性とだけデートしていた人が何人かいました。  アジア人って言ったって、いろんな人がいるわけで、お互いいいと思わなかったらデートも結婚もしないんだから、それはそれでいいんじゃないの?と思うけど、昨日のクラブに来ていた若い人たちは、みんなすごく否定的でした。

娘がお友達に、あなたのお父さんもウィーアブーだったの?なんて聞かれたそうです。  うちの娘は、お父さんは他にガールフレンドがいなかったから、そんなの知らない、って答えたそうです。  ちょっとかわいそうなお父さん。  ウィーアブーも彼女いない歴何十年も、どっちの本当のことじゃないらしいですけどねえ...   
 

バイリンガル親子だから娘が悲しい思いをすること


娘が生まれた時、私たち夫婦がまず考えたことは、何語を使って娘に話しかけるかということでした。  私は全て英語で育てる自信がなかったし、英語をマスターするのに苦労したので、娘にはバイリンガルになってもらいたかったのです。
  
それでいろんな本を読んで、家庭の中に複数の言語を話す人がいる場合、子供をバイリンガルに育てたければ、生まれた時からそれぞれがネイティブの言葉を話すべきだ、と書いてあったので、夫は英語、私は日本語で話す、共通の会話は英語、と決めて、ずっと大きくなってからもそうしてきました。

小さい頃は日本語を話せたのに、大きくなるに従って話すのをやめてしまった子を何人も知っています。  親が日本人だからと言って、日本語を話せるようになるのが当たり前とは思っていません。  親の努力があっても、話さなくなってしまう子は大勢います。  

お陰様で娘のY子の場合は、日本語は日常生活に特に支障がないくらい話せます。  日本人の私自身よりも、日本に対して好意的だし、誇りを持っているようで、多少複雑ですが、やっぱりそれは私にとってすごく嬉しいことなんです。

複雑だというのは、Y子がとても感受性の強い子で、真面目な性格なので、その日本人としての誇りとか、愛情が、周りからのリアクションによって、とても大きなダメージになってしまうことがあるからなんです。

私と一緒に買い物に行ったりすると、レジで並んでいる時に日本語で話すことがあります。  自分たちの順番が来て、店員さんが話しかけてくる時、私にではなく、娘に話しかけることが多いのです。  もし日本にいたら、そりゃあおばさんよりも若い子と話したいよねえ、なんて冗談をいうかもしれません。  でもアメリカにいるから、やっぱりそれって私が英語を話せないと思っているんでしょう?と思ってしまうわけです。  

バッグ(袋)は要りますか?とか、カードで支払いますか?とか、子供に聞くようなことじゃないのに、しっかり娘の方に向かって話しかけているのをみると、この人は私が娘を通訳に使っていると思っているのかなあ?  これでもアメリカの大学を出たんですけどねえ、なんて、心の中で笑ってしまいます。  そしてとことん英語がわからないふりをしたりして、面白がってはいるけど、腹を立てることはありません。  もう慣れていますから。  

だけどY子はそうは行きません。  小さい頃から真面目な子で、中学、高校生になってからは、あらゆる差別のことに敏感になって、誰に対しても公平な正義の味方なのです。  そして彼女は怒らないで悲しむんです。  それが私にはすごく辛い。

先日も、ある出来事があって、娘があの人は私たちが英語を話せないと思っているんだ、なんて泣いていたことがありました。 

親の世代が移民としてアメリカに来て、アメリカ国民として生まれ育った子供は大勢います。  だけど親が外国語を話すから自然とバイリンガルになったのに、親と一緒に外国人扱いされるのは、その子たちにとっては納得できませんよね。  Y子にとっては、自分が外国人扱いされるだけでなく、正真正銘外国人の親までが、外国語を話すからと言って違う扱いを受けるのが、とても腹立たしいことなんです。

夫は日本語が話せないので、日本語を話すのは私が娘と二人の時だけです。  だから、いやだったら英語で話そうよ、と言っても、彼女は頑なに日本語で続けようとします。  

これからも誰かが私のことを英語を話せない外国人だろう、なんて思うことがあるだろうし、英語を話さないと思って、平気で目の前で失礼なことを言うかもしれません。  それとも日本語を話していると、わからないと思って悪口を言っているんだろう、なんて逆に怒る人もいるでしょう。  

それでも娘と日本語で話し続けるのは、自分のことよりも、娘の周りに対する反応を考えて、それに私が耐えていけるか、かなり覚悟が必要なことのようです。  



見た目で決めないで!  日本語を話すハーフの悩み

カツサンド


カツサンドはどこですか?


M子の娘のY子は、日本語が達者です。  アメリカ育ちだけど、日本の人みたいに話せます。  でもほとんど白人のような顔をしているので、知らない人は日本語で話しかけようなんて考えません。  

Y子が中学生だった頃、一人で日本に行ったことがありました。  読み書きは苦手だけど、話すのだったら不自由はないので、近所のスーパーに一人でお買い物に出かけたんです。  カツサンドを買いに。  

お店に入った途端、親切そうな店員さんが近寄って来ました。  そして”メイ アイ ヘルプ
ユー?”と、カタカナ英語で話しかけてきたんです。  Y子は日本語で、”カツサンドはどこですか?”と聞きました。  そうしたらその店員さんは、Y子をパンの売り場まで連れて行って、サンドイッチ用のスライスされたパンを指差したではありませんか!  

カツサンドですよ、カ・ツ・サ・ン・ド。  これはれっきとした日本語です。  この女の子は日本人の顔をしていない、だからきっと英語を話すに違いない。  日本語でカツサンドと言っているのに、すっかり気が動転して、サンドだから、パンのことだな?なんて、勝手に解釈してしまったのでしょう。  

結局Y子は、カツサンドは違うお店で買うことにして、そうっとお店を出たそうです。  

ハーフっていろんな人がいるんですよ


日本のテレビを見ていると、たくさん白人と日本人の混血の人が出ていますね。  最近は白人だけではなくて、片方の親が黒人やラテン系の人も増えてきたし、もちろんアジアの国の人もいます。  

英語ではハーフとは言わずに、混血を意味するミックスという言葉を使います。  顔を見ただけでは、一体何の人種が混ざっているかわからない人も大勢います。  アメリカは移民の国で、ネイティブアメリカン(アメリカのインディアン)以外は、みんなもとはどこかよその国から来た人たちです。  だから、見た目がどうであれ、あの人は外国人だな、と簡単に決めつけられないんです。  

日本は単一国民の国だから、日本人の顔をしていないと、即それは外国人と思ってしまうんですね。

親は外国人だけど、日本で生まれ育った人たちには、日本語しか話せない人も大勢います。  親が日本人だけどアメリカに住んでいて、日本語を一言も話せない人がいるのと同じことです。  

英語で話すのが親切とは限らない

東京オリンピックを2年後に控えて、東京周辺では随分英語の表示が増えたようですね。  英語は世界の公用語なので、これは大いに結構なことだと思います。  英語を話す人も増えているようで、若い人がネイティブみたいに上手に話しているのをよく見るようになりました。  

英語を話せると、いろんな国の人と話が出来て、便利だし、世界が広がって楽しいです。  

だけど私は日本では相手がどこの国の人でも、まずは日本語で話しかけるべきだと思っています。  外国人だからって、みんなが英語を話すとも限りません。  日本語で話しかけて、わからなければ英語を使うなり、身振り手振りで意思疎通をはかるなりすればいいんです。  

顔が日本人に見えなくても、自分は日本人だと思っている人に、外国の言葉で話しかけるなんて、とても失礼な話です。  

100%白人ではないから、白人の仲間には入れない、かと言って日本に行けば、日本人に見えないから日本語で話しかけてもらえない。  ハーフの娘の悩みは、これからもまだまだ続きそうです。     



 

     

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プロフィール

コードネームM子

Author:コードネームM子
横浜出身、アメリカ、シアトル在住。  
大学生の娘がいるお母さん。
アメリカ人の夫と、小型犬セバスチャンと一緒に、シアトルで静かに暮らしています。

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